総合商社株の2020/3期の通期決算が出そろいましたのでまとめました。
総合商社とは
現在、総合商社とは、三菱商事、三井物産、伊藤忠商事、住友商事、丸紅、豊田通商、双日の7社で「七大商社」と呼びます。
割安な高配当株として人気です。借金が多かったり世界景気の影響を受けやすかったりデメリットもあります。 総合商社が気になる方はインカム狙いの長期投資家が多いかと思います。 コロナショックや世界的な景気後退懸念もあり、2020/3期の決算に多くの方が注目していたと思います。
2020/3期 業績と配当の簡易サマリー
今回の決算で多くの銘柄で減益が決まりましたが、純利益と配当についてまとめました。これを比較することで、いままで高配当利回りだったのが今後どうなっていくのかが少し読み解けるかと思います。また、個人的に気になるネットD/Eレシオも比較しました。

伊藤忠商事と豊田通商が増益で、それ以外は減益でした。丸紅と住友商事は大きい一過性損出を計上したためかなり減益しています。2021/3期は業績未定が多いですが、業績予想をだしている商社では大減益となりそうです。また、ネットD/Eレシオが悪化している銘柄も多く、1倍を超すものもありました。伊藤忠商事はこんな状況でもネットD/Eレシオを改善しています。
7大商社の決算まとめ
こちらはそれぞれの銘柄の詳細なまとめです。また、決算前の内容にはなりますが、それぞれのファンダメンタル分析の記事のリンクを貼りましたので、気になる方は参照ください。
双日 【2768】
- 2020/3期では13.6%の減益。2021/3期ではさらに34%の減益の予想です。
- 2020/3期は配当据え置きで、2021/3期は配当未定です。配当性向30%を目安に出す予定です。
- 業績予想は20年6月まで新型コロナウイルス感染症が続く前提での減益です。
- 新型コロナウイルス感染症が20年6月以降も長引く場合は、1か月ごとに-80億円の減益インパクトがあるとのことです。


伊藤忠商事 【8001】
- 2020/3期では0.2%の増益。2021/3期は20%の減益予想です。
- 2020/3期は85円の増配で、2021/3期は88円の増配予定です。配当性向30%を目安に累進配当を継続するとのことです。
- 2020/3期決算ではアパレルなどがある繊維のセグメントでは大きく減益がありましたが、他のセグメントでは大きな影響はありませんでした。

丸紅 【8002】
- 2020/3期では赤字ですが、2021/3期では黒字の予想です。赤字の原因は一過性の減損損失ということで、石油・ガス開発事業における固定資産の減損損失や、のれんや各種投資の減損だそうです。
- 2020/3期は予定通りの増配(35円)で、2021/3期は大幅減配の予定です。(15円予定)
- 2021/3期は15円を下限とし、配当性向は25%以上となっています。よって、業績が予想以上に良い場合は15円から増える予定です。
- 2021/3期の配当が15円だとした場合の現在の配当利回りは約3.2%です。(2020/5/7 株価465円から計算)。赤字決算発表前は配当利回り7%だったのでだいぶ下がってしまいました。
- 業績予想は、新型コロナウイルスの感染拡⼤が2020年度の上半期中にピークを迎え、その後徐々に収束に向かうという前提とした減益見積です。

豊田通商 【8015】
- 2020/3期では2.2%の増益をしましたが、2021/3期の業績は未定となっています。
- 配当は予定通りの増配となりましたが、 2021/3期の配当は未定となっています。配当性向は25%以上を目途にするとのことです。
- 中期経営計画では、直近の業績予想などは出していませんが、3年後にむけてジャンプアップできるように経営をしていくと説明しています。成長戦略としているアフリカはこれからコロナウイルスの影響を受け始めるというのもあり、予想がかなり難しいという印象です。

三井物産 【8031】
- 2020/3期では5.5%の減益。2021/3期ではさらに54%の減益の予想です。
- 2020/3期は配当据え置きで、2021/3期も配当据え置きの予定です。
- 配当は80円を下限とする方針です。配当性向がかなり高くなりそうです。
- 業績予想は、新型コロナウイルスの感染拡⼤が2021年3月期後半より回復する前提で 減益見積してます。


住友商事 【8053】
- 2020/3期では46%の減益。2021/3期の業績は未定です。
- 2020/3期は80円の増配で、2021/3期は70円の減配の予定です。
- 配当性向30%程度という方針がありますが、急激な減配を防ぐためにいったん70円まで減配するとのことです。
- 他の総合商社より 2020/3期 の減益量が大きいですが、これは大口の一過性損失のためだということでした。一過性損出を除く業績も出していますが、その場合は23%の減益ということで、それでも他の銘柄より減益量が多いです。(丸紅を除く)

三菱商事 【8058】
- 2020/3期では9%の減益。2021/3期 の業績は未定です 。
- 2020/3期は132円の増配で、2021/3期は134円の増配予定です。累進配当を継続するとのことです。
- 2020/3期決算ではアパレルなどがある繊維のセグメントでは大きく減益がありましたが、他のセグメントでは大きな影響はありませんでした。

決算資料を読んでわかったことなど
2020/2月頃に丸紅が赤字を出すと発表があったので、他の総合商社も大きく減益するのかと思っていましたがそれほどでもありませんでした。丸紅では一過性損失で赤字ということだったのですが、他の総合商社も2016年頃に同じく一過性損失をすでに出していました。そのときは丸紅は出していなかったので、今期では一気に損失計上が必要だったのかなという印象です。(詳細はわかりませんが)

また、原油価格暴落が総合商社の業績に大きく影響を与えるのかと思っていましたが、決算資料では原油価格暴落などの影響はそれほど書かれていませんでした。 コロナウイルスや世界的な需要減の影響のほうが大きいようです。
多くの総合商社が 2020/3期の決算で減益になってますが、次の2021/3期決算では本格的に影響が出てくると思います。
今後の配当見通しについて
2021/3期の業績予想を出している銘柄だけを見ると、ざっくり利益が半分前後に減りそうです。決算前の総合商社の配当利回りは平均6%ほどだったので、EPS(一株利益)が半分になって配当性向据え置きだと仮定した場合、総合商社の配当利回りは平均3%に減ることになります。しかし、配当性向は30%前後なので、配当性向を60%以上に上げれば配当を維持することもできます。ここは商社ごとで配当の方向性が違うみたいなので要注目です。
今ならどの銘柄がおすすめか?
今の段階でおすすめできそうなのは、伊藤忠商事と三菱商事です。
伊藤忠商事は今回のIR資料を見る限り、一番コロナの影響を受けていません。減益予想ですが、他の銘柄より影響度が少なそうです。また、配当も累進配当を継続するとのことで安心感が高いです。
三菱商事は2020/3期の減益量は少いです。2021/3期の業績予想は出ていませんが、累進配当を継続するとのことで配当の面では魅力的です。
他の銘柄は大きな減益と減配で難しいところですが、必要以上に株価が下がった場合は検討の価値がありそうです。業績が戻りさえすれば、総合商社は長期で見たときに増配傾向があるので、トータルでのリターンを見たときの仕込み場が来るかもしれません。
まとめ
- コロナの影響が出て減益の商社が多かった。
- 業績予想未定、配当予想未定の銘柄が半分くらいだった。
- 原油価格暴落の影響はあまり無いようだった。
- 丸紅と住友商事は大減益でしたが、それは一過性損出の影響が大きい。
- 累進配当を宣言していない銘柄は今後の配当が不透明になっている。
- 総合商社は配当性向が低いので、長期で見たときの安心感はある。
総合商社のファンダメンタルをより詳細に分析した記事も書いていますので、総合商社が気になる方はこちらもどうぞ。↓↓↓
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