JT(日本たばこ)を評価してみました。
高配当で優待もあって人気銘柄のJT。株価チャートは右肩下がりだが、長期保有対象としてはどうでしょうか?
この記事では、
- 直近の四季報の数値を独自の計算式に入れて5段階評価をしています。
- 長期投資するメリットがあるかの視点での12項目を評価しています。
- 12個の5段階評価を考慮し、最終的なランクをつけています。(Sランク~Dランク)
- 最後に主観的なコメントもしています。
JT(日本たばこ) とは
JTとは日本たばこ産業のことで、たばこを主力商品としています。日本トップのタバコ会社で世界では第3位だそうです。これまでに海外でのM&Aにて規模を拡大してきていて、国内外でタバコを販売しています。電子タバコ(リスク低減製品)では、Ploomという商品を出しています。タバコ以外では医薬品や加工食品を扱っています。
セグメントでは売り上げのほとんどが海外たばこです。国内たばこは28%と少ないです。たばこ以外にも医療事業と加工食品事業もありますが、たばこ事業がほとんどを占めています。

12項目の評価
評価基準日 : 2020/5/2
株価 : 1,981 (基準日時点)
日経平均 : 19,619 (基準日時点)
1.時価総額
★★★★★
時価総額は43,850億円の企業で規模は超巨大です。日経225の銘柄です。PBRは1.32倍です。
2.自己資本比率
★★★☆☆
自己資本比率は47.9%と良い数値です。一般的には50%以上でかなり優良と言われています。業種にもよりますが、30~40%が平均です。
3.当期純利益率
★★★★☆
2019年度決算での当期純利益率は16%です。 かなり高利益な製品を扱っていますが、利益率はどんどん下がってきています。



4.増収傾向
★★☆☆☆
売り上げは横ばいです。利益は右肩下がりで下がっていて懸念材料です。



5.増配傾向
★★★★☆
これまで配当性向を上げながら増配をしてきましたが、2020/12期では配当据え置きの予定です。16年連続増配の記録を持っていましたが、これで連続増配はストップになりました。






6.配当性向
★☆☆☆☆
2019年決算時の配当性向は79%です。2020/12期では90%まで行く予定で、かなり厳しいところまで来ました。一株利益(EPS)が下がっているというのが問題です。



7.PER
★★★★☆
評価時点でのPERは11.52倍で割安です。株価が右肩下がりでどんどん下がっています。PERも下がっているので、実際の業績以上に売られている印象です。



8.負債/純利益率
★★★☆☆
2019年決算時の有利子負債は974,502百万円です。直近の決算の純利益が348,190百万円で、利益剰余金が2,750,506百万円なのでそこまで問題ではないです。D/Eレシオは0.37なのでまだまだ安全です。
9.配当利回り
★★★★★
評価時点での配当利回りは7.77%です。スーパー高配当株です。
10.ROE & ROA
★★★★★
2019年度決算ではROEが13.2%、ROAが6.3%。2020年度決算予想ではROEが11.5%、ROAは5.5%です。ROEはかなり高めですが、年々下がってきているのが気になります。



11.フリーキャッシュフロー
★★★★★
2019年度決算では営業CF=5,404億円、投資CF=-1,235億円 です。フリーキャッシュフローは良い傾向です。M&Aなどの投資もありますが、営業キャッシュフローが高めで安定しているのでいいキャッシュフローです。



12.優待
★★★★★
JTの魅力でもある株主優待です。100株の優待利回りは約1.3%です。優待を受け取るためには1年以上保有という条件があります。 総合利回りは9%近くまで行きます。
総合評価
Bランク
Sランク : 長期投資して安心して配当をもらい続けることができそうな超優良銘柄。長期ではキャピタルゲインも狙えるかも。
Aランク : 安心できる優良銘柄。長期投資での候補にできる。購入後のチェックは必要。
Bランク : 依然優良銘柄だが、気になるところもある。こまめにチェックして買い時と売り時を考える必要がある。
Cランク : 長期投資の対象としてはちょっと難しい銘柄。購入にはより詳細な調査と分析が必要。
Dランク : 長期投資の対象としてはかなり難しい。(優待が良ければ保有も可)
コメント
良いポイントとしては、財務が割とよく、稼ぐ力が強めというところです。高い配当持続力と高い配当利回りが魅力です。
悪いポイントとしては、成長力が無く、利益が右肩下がりになっているところです。EPSも右肩下がりです。
高配当で魅力的な銘柄ですが、利益が右肩下がりなところが懸念です。しかし、売り上げの多くを占める海外たばこ事業はそこまで悪い状況でもありません。今後もシェアを伸ばしていければV字回復もありそうです。また、まだ規模は小さいですが電子タバコ(リスク低減製品)も好調ですので、期待できるところもあります。



2020期の1Q決算では配当性向が90%にいくとのことです。決算資料では新型コロナウイルスの影響はあまりないと書かれていますが、JTは12月決算なので、ウイルス問題の長期化によっては配当性向が100%を超す可能性もあるかもしれません。仮に少し減益しても配当利回り7%超えの高利回りは圧倒的に魅力です。
リーマンショック時影響
過去の景気後退局面であるリーマンショック時にどうだったかを確認し、今後の景気後退局面での予想をします。
リーマンショック時は2009/3期で-50%の減益でした。その後は順調に業績を回復しています。その中でもJTは増配をしていました。2009/3期は配当性向が17%から40%に上がる程度の影響でした。今は配当利回りが高すぎなので、今後の景気後退局面ではあまり参考にならないかもしれません。実際、増配をストップする予定です。
まとめ
- 稼ぐ力があり魅力的だが、年々減益が続いている。
- 配当性向が高すぎで減益の懸念がある(しかしJTは減配しないで有名)
- 海外たばこは好調。電子タバコ(リスク低減製品) も好調
- 16年連続増配がストップし、今後の展開が不透明で難しい
銘柄の評価と分析は独自のもので、ランクが高いから絶対儲けられると保障したものではありません。銘柄選定の参考程度にしていただき、実際の投資の際はご自身の判断と責任にてお願いします。
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