クレハ を評価してみました。
景気敏感性は高そうですが、長期で累進配当をしている銘柄です。割安感がある高配当株ですが、長期保有対象としてはどうでしょうか?
この記事では、
- 直近の四季報の数値を独自の計算式に入れて5段階評価をしています。
- 長期投資するメリットがあるかの視点での12項目を評価しています。
- 12個の5段階評価を考慮し、最終的なランクをつけています。(Sランク~Dランク)
- 最後に主観的なコメントもしています。
クレハ とは
NEWクレラップで有名な化学メーカです。4つのセグメントがあり、利益が多いのは機能製品と樹脂製品です。 塩素化学 を使った製品に強みがあり、様々な分野で活躍する製品を開発しています。EV自動車向けにPVDF事業の拡大していて40%のシェアを持っています。また、 シェールオイル掘削プラグ 用として PGA樹脂 を開発・販売してきて、ついに収益化できるようになってきました。

12項目の評価
評価基準日 : 2020/5/14
株価 : 4,090 (基準日時点)
日経平均 : 19,914 (基準日時点)
1.時価総額
★★★★☆
時価総額は1,208億円の企業で規模は大きいです。PBRは0.49倍で割安です。
2.自己資本比率
★★★★★
自己資本比率は66.4%とかなり高い数値です。一般的には50%以上でかなり優良と言われています。業種にもよりますが、30~40%が平均です。
3.当期純利益率
★★☆☆☆
2019年度決算での当期純利益率は9.6%です。利益率はだんだん増加しているので良い傾向です。



4.増収傾向
★★★☆☆
売り上げは横ばいですが利益が伸びています。



5.増配傾向
★★★☆☆
長期で累進配当の傾向で推移していて、配当性向をもとに増配しています。2014年期の記念配抜いた場合、20年近く減配していません。



6.配当性向
★★★★☆
2019年決算時の配当性向は24.5%でちょっと少なめな水準です。配当性向は25%前後で安定していて、一株利益(EPS)が伸びているのでいい傾向です。



7.PER
★★★★★
評価時点でのPERは5.51倍でかなり割安です。コロナショックで株価が暴落しましたが、その後株価は回復していません。



8.負債/純利益率
★★★☆☆
2020年決算時の有利子負債は41,176百万円です。直近の決算の純利益が13,719百万円で、利益剰余金が142,930百万円ですので、割と大丈夫です。D/Eレシオは0.23で安全です。有利子負債は年々減ってきているので良い傾向です。



9.配当利回り
★★★★★
評価時点での配当利回りは4.16%です。かなり高配当です。
10.ROE & ROA
★★★☆☆
2019年度決算ではROEが9%、ROAが5.6%。2020年度決算予想ではROEが12.5%、ROAは8.3%です。



11.フリーキャッシュフロー
★★★★☆
2019年度決算では営業CF=233億円、投資CF=-83億円 です。2010年代前半は投資多めなキャッシュフローでしたが、2010年代後半ではプラスのフリーキャッシュフローで安定しています。



12.優待
☆☆☆☆☆
株主優待はありません。
総合評価
Cランク
Sランク : 長期投資して安心して配当をもらい続けることができそうな超優良銘柄。長期ではキャピタルゲインも狙えるかも。
Aランク : 安心できる優良銘柄。長期投資での候補にできる。購入後のチェックは必要。
Bランク : 依然優良銘柄だが、気になるところもある。こまめにチェックして買い時と売り時を考える必要がある。
Cランク : 長期投資の対象としてはちょっと難しい銘柄。購入にはより詳細な調査と分析が必要。
Dランク : 長期投資の対象としてはかなり難しい。(優待が良ければ保有も可)
コメント
良いポイントとしては、増益の傾向が良いところです。PERとPBRがかなり割安になっている高配当株です。減配しない累進配当の傾向も良いです。財務状況も悪くないです。
悪いポイントとしては、売り上げが増えていない(横ばい)なところです。
ここ数年の業績はとても良いです。一株利益(EPS)が伸びて増配をしています。PERはかなり割安ですが、次の業績予想で大幅に見直されると思うので今は参考程度です。しかしPBRで見た場合でもかなり割安です。 減配しない累進配当の傾向なので、長期保有にはいいかもしれません。
シェールオイル掘削プラグ 用として PGA樹脂 に力を入れていましたが、原油価格暴落があり、アメリカのシェールオイルがダメになりそうになっているのが非常に残念です。コロナショック後に株価が戻っていないのはこれが影響しているかもしれません。しかし、 PGA樹脂は全体の売り上げのごく一部なので、今の株価の下落は割安感を感じます。株価はリーマンショック後の底値近くまで来ています。



リーマンショック時影響
過去の景気後退局面であるリーマンショック時にどうだったかを確認し、今後の景気後退局面での予想をします。
リーマンショック時は赤字にはなっていませんが5年近く大きめに減益していました。景気敏感性はとても高いです。しかし、下のチャートを見てわかるように、配当性向を引き上げて減配を防いでいました。3年間は配当性向100%を超えているのでかなり頑張っています。今後の景気後退局面でも減配しないで耐えようとすると思いますので、インカム狙いには安心感があります。



まとめ
- 売り上げは伸びていないが利益は順調に伸びている。
- 株価下落で割安感のある高配当株になっている。
- 累進配当の傾向なので、今後の景気後退局面でも安心感がある。
- リーマンショック時は減益が長引いたので景気敏感性が高そう。買い時には注意。
銘柄の評価と分析は独自のもので、ランクが高いから絶対儲けられると保障したものではありません。銘柄選定の参考程度にしていただき、実際の投資の際はご自身の判断と責任にてお願いします。
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