東海カーボンを評価してみました。
2018年に黒鉛電極で爆発的な成長をした話題の企業ですが、長期投資の対象としてはどうか評価しました。
この記事では、
- 直近の四季報の数値を独自の計算式に入れて5段階評価をしています。
- 長期投資するメリットがあるかの視点での12項目を評価しています。
- 12個の5段階評価を考慮し、最終的なランクをつけています。(Sランク~Dランク)
- 最後に主観的なコメントもしています。
東海カーボン とは
炭素(カーボン)を加工した炭素製品の大手です。 タイヤ用カーボンブラックで国内首位、電炉用電極や半導体・太陽電池用素材もありますが、今一番の売り上げと利益を出しているのが黒鉛電極です。
2017年ころから電炉建設の急増と電気自動車のリチウムイオン電池材料(負極材)があったのですが、 その際に原料価格の高騰を背景に黒鉛電極の価格を約3倍に引き上げたため、売り上げが約2倍ほどに増えました。2018年度決算で売上約2倍、純利益約5倍という大化けをしたため、人気が出て株価が暴騰しました。その後、黒鉛電極の需要が落ちついてきて、各4半期決算等で減益発表などがあったため、株価は徐々に下がってきています。しかし、大きなM&Aを3つ達成し、今後も成長するビジョンを描いています。

黒鉛電極が話題の中心ですが、ほかのカーボン事業も順調です。電極事業を収益基盤としながら、成長分野へ500億円投資するということで、これからも攻めの姿勢です。



創業100年を超えた炭素のパイオニア企業は黒鉛電極で大きな変化点にあります。 ここ3年で海外売上比率が約50%から約70%に増加する予定で、急激にグローバル企業になりつつあります。
12項目の評価
評価基準日 : 2019/12/9
株価 : 1,130 (基準日時点)
日経平均 : 23,417(基準日時点)
1.時価総額
★★★★★
時価総額は2,258億円で大規模なグローバル企業です。 日経225の銘柄です。
2.自己資本比率
★★★★★
自己資本比率は61%で高めです。
3.当期純利益率
★★★☆☆
2018年度決算では約31%でとても多いです。しかし、2017年度決算では約11%だったり、2019年度決算予想でも16%だったりと、平均として15%くらいと見たほうがいいかもしれません。2018年度のこのすごい利益率は一時的な特需のよるもののようです。
4.増収傾向
★★★☆☆
これまで収益が横ばいだったのが、2018年度決算で2倍になっています。2019年度決算でも少し増える予想です。2016年度に赤字を計上しているのが懸念です。
5.増配傾向
★★☆☆☆
今までは6円をキープでしたが、2017年度決算から急激に増えだしました。連続増配し出してから間もないですが、今後も増配しそうな予想です。
6.配当性向
★☆☆☆☆
配当性向は2018年決算で約6%です。特需による利益を計上した年なので配当性向が低いのは仕方がないと思います。重要なのはこれからの傾向で、中期経営計画では配当性向30%を目指すと有ります。業績に連動してこれからも増配していく期待があります。



7.PER
★★★★★
評価時点でのPERは6.67倍で割安です。
8.負債/純利益率
★★★★★
2018年決算時の有利子負債は44,576百万円です。純利益と比較するととても少ないです。投資はキャッシュフローから出すと宣言していているので基本的には借金体質ではありません。
9.配当利回り
★★★★★
評価時点での配当利回りは4.25%で超高配当株です。
10.ROE & ROA
★★★★★
2018年度決算ではROEが47.1%、ROAが23.3%。2019年度決算予想ではROEが24.0%、ROAは14.7%です。数値がバクっていますが(笑)、現時点での稼ぐ力はとても高いです。
11.フリーキャッシュフロー
☆☆☆☆☆
2018年度決算では営業CF=441億万円、投資CF=-538億円。フリーキャッシュフローはマイナスです。利益を出しているのになぜキャッシュフローがマイナスかというと、3つのM&Aに使ったからだそうです。これらを将来のフリーキャッシュフローの発生源にするようです。



12.優待
★★★★★
最近新たに株主優待が設定され、カタログギフトがもらえます。100株を1年保有した場合の優待利回りは約2%ほどで、かなりうれしい内容です。



総合評価・まとめ
Aランク
Sランク : 長期投資して安心して配当をもらい続けることができそうな超優良銘柄。長期ではキャピタルゲインも狙えるかも。
Aランク : 安心できる優良銘柄。長期投資での候補にできる。購入後の定期的なチェックは必要。
Bランク : 依然優良銘柄だが、気になるところもある。こまめにチェックして買い時と売り時を考える必要がある。
Cランク : 長期投資の対象としてはちょっと難しい銘柄。購入にはより詳細な調査と分析が必要。
Dランク : 長期投資の対象としてはかなり難しい。(優待が良ければ保有も可)
コメント
12項目の評価はとても高いですが、長期投資を考えるとちょっとリスキーな銘柄でもあります。これだけ急激に成長した企業はこれからも成長する可能性もありますが、うまくいかない場合もあります。大きく上がるか下がるかのギャンブルの状態になっていると思います。低PERで超高配当株なのに買われていないのは、今後の展開に懸念を持っている投資家が多いという表れかと思います。
このブログでは継続的な成長をしている優良企業を長期投資の対象にしているのですが、この直近の状況を見ると安心しては買えないなと思います。もう1年待って、経済後退の影響がどのように出るかを見定めてからの購入でも遅くはないかもしれません。
株価は安くて10万円程度で買えるので、優待目当てで今から長期投資するのもありかもしれません。
銘柄の評価と分析は独自のもので、ランクが高いから絶対儲けられると保障したものではありません。銘柄選定の参考程度にしていただき、実際の投資の際はご自身の判断と責任にてお願いします。
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