日立キャピタル を評価してみました。
5.43%の高配当な総合リース銘柄です。長期保有対象としてはどうでしょうか?
この記事では、
- 直近の四季報の数値を独自の計算式に入れて5段階評価をしています。
- 長期投資するメリットがあるかの視点での12項目を評価しています。リース銘柄に特化した評価方法になっています。
- 12個の5段階評価を考慮し、最終的なランクをつけています。(Sランク~Dランク)
- 最後に主観的なコメントもしています。
日立キャピタル とは
日立キャピタル株式会社(ひたちキャピタル、英:Hitachi Capital Corporation)は、東京都港区に本社を置く、日本の大手総合ファイナンス会社である。日立製作所および三菱UFJフィナンシャル・グループの持分法適用関連会社。日産コンツェルンの一員。
日立製作所の家電販売のクレジット部門を前身としローン・クレジットに強みを持つ日立クレジットと、同じく日立系でリース事業を行なっていた日立リースが2000年に合併し、現社名となった。
Wikipedia より
12項目の評価
評価基準日 : 2020/2/29
株価 : 2,762 (基準日時点)
日経平均 : 21,142 (基準日時点)
1.増収傾向
★★★★★
右肩上がりの増収をしています。6期連続増収です。
2014年には日本ビジネスリースの子会社化、日立製作所と共同出資で日立ウィンドパワーを設立により売り上げ規模が拡大しています。

2.増益傾向
★★★☆☆
利益は横ばいで安定しています(上のチャート参照)。2019年には中国子会社での不正常取引により一部利益を次の年に繰り越すような処理をしたために一時的に利益が下がって見えます。
2019年度決算での当期純利益率は4.27%で、リース銘柄の中では平均的な利益率です。下のチャートを見るとわかりますが、一時的に利益率は4%になっていますが、基本的には8%前後の実力があります。

3.増配傾向
★★★☆☆
他のリース銘柄のような連続増配の傾向はありません。2019年決算では決算の遅れがあり、40年の配当を次年度に繰り越しています。この特別処理がなければ累進配当の傾向です。

4.配当性向
★★★☆☆
2019年決算時の配当性向は27.8%です。リース銘柄の中では高めな数値です。
中期経営計画では配当性向を40%までに上げるという目標を出しています。他のリース銘柄より株主還元に積極的です。

5.PBR
★★★★★
PBRは0.85倍です。基本的にPBRの低いリース銘柄のなかでは普通な数値です。時価総額は3,310億円の企業です。
6.PER
★★★☆☆
評価時点でのPERは9.93倍です。リース銘柄はPERは低い傾向がありますが、その中では平均的な数値です。
7.配当利回り
★★★★★
評価時点での配当利回りは5.43%です。超高配当です。しかし、これは40円の配当が繰り越しされている影響があるので、それを抜いた110円見込みと考えると3.9%相当の配当利回りです。配当性向40%方針もあって、それでもかなりの高配当です。
8.ROE
★★★☆☆
2019年度決算ではROEが5.1%、ROAが0.5%。2020年度決算予想ではROEが8.6%、ROAは0.9%。2019年決算ではROEが下がっていますが、これは利益を繰り越した関係があるので、実力的にはROE9%前後です。中期経営計画では、ROEを9%、ROAを1.7%にするという目標です。特にROAの目標が高く、そのためには借金を減らして自己事本比率を上げる必要があるので、好ましい目標です。(ざっくり計算で、自己資本比率が現在10%に対して19%くらいに上がると思います。)

9.有利子負債/営業資産残高(%)
★☆☆☆☆
2019年決算時の有利子負債は3,082,646百万円です。それに対し営業資産残高は3,255,972百万円あります。 比率でいうと95%で、リース銘柄の平均でみるとかなり高い数値です。借金の比率が高いです。
10.D/Eレシオ
★☆☆☆☆
2019年度決算でのD/Eレシオは8.1倍です。全業種で比べるとD/Eレシオは高いですが、借金の多さは営業資産残高でカバーできているという考え方なので、リース銘柄内での相対比較で評価しています。8.1倍というのはリース銘柄の中ではかなり悪いほうです。借金が多いです。
11.流動比率(%)→ FCF
★★★★☆
貸借対照表が決算短信等に無いので流動比率は計算できませんでした。(決算方式がIFRSになった影響?)。代わりにフリーキャッシュフローで見ましたが、フリーキャッシュフローはかなり良いです。リース銘柄の場合はマイナスの営業CFになるので、マイナスだと良いという見方になります。

12.優待
☆☆☆☆☆
株主優待はありません。
総合評価
Dランク
Sランク : 長期投資して安心して配当をもらい続けることができそうな超優良銘柄。長期ではキャピタルゲインも狙えるかも。
Aランク : 安心できる優良銘柄。長期投資での候補にできる。購入後のチェックは必要。
Bランク : 依然優良銘柄だが、気になるところもある。こまめにチェックして買い時と売り時を考える必要がある。
Cランク : 長期投資の対象としてはちょっと難しい銘柄。購入にはより詳細な調査と分析が必要。
Dランク : 長期投資の対象としてはかなり難しい。(優待が良ければ保有も可)
コメント
2019年決算では会計の遅れがあり、ちゃんと中身を確認しないとよくわからない銘柄です。2018年決算では減配していますが、実質的には累進配当だったという見解になります。また、異常な高配当利回り(5.4%)は配当繰り越しの影響なので、実質的な配当性向は3.9%前後だという理解が必要です。
リース銘柄のくくりで評価しましたが、リースをそれほど全面に出していない会社です。累進配当だったり、配当性向をガツンと上げたり、営業資産残高にこだわっていなかったり、他のリース銘柄とはずいぶん違います。しかし、リース銘柄を同じく借金がかなり多いです。
会計の遅れで利益を次年度に繰り越した関係でもっと業績が良いはずですが、2018年決済と同じ純利益になりそうなので、実質的に減益になっているのかもしれません。次の決算と次の中期経営計画を確認して買いの判断が必要そうです。
まとめ
- 会計遅れの関係で分かりにくくなっているので、実質的なファンダメンタルの評価が必要。
- 実質的な純利益率8%前後、実質的な配当利回り3.9%とかなり良い数値。
- 2020年決算では実質的な減益になりそうで注意が必要。
銘柄の評価と分析は独自のもので、ランクが高いから絶対儲けられると保障したものではありません。銘柄選定の参考程度にしていただき、実際の投資の際はご自身の判断と責任にてお願いします。
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