これまでブログで100以上の日本株個別銘柄を評価・紹介してきました。インカム狙いの高配当株を長期保有する投資家の目線で銘柄評価をしてきましたが、私の高配当株の評価方法を紹介したいと思います。 配当利回りの数値に惑わされやすい高配当株ですが、この記事を読むことで高配当株の評価コンセプトがわかり、このブログを銘柄選びの参考としてより活用していただけると思います。
このブログの対象者

インカム狙いの高配当株を長期保有する投資家をメイン対象にしています。よって、短期投資家やグロース株投資家にはあまり参考にならないかもしれません。同じ個人投資家に対して、少しでも銘柄選びの参考になる情報を提供できるように努力しています。
- 業績の安定した企業で長期的にインカムゲインを得たい
- 財務が安定していて、長期で保有しても安全性の高い銘柄を知りたい
- サラリーマンなので、日中は株取引はできない
- 買ったらなるべくほったらかしにしていたい
- ”金の卵を産むニワトリ”のような銘柄を知りたい
- キャピタルゲイン狙いで短期的に2倍・3倍になる銘柄で儲けたい
- デイトレードなどの短期取引用の銘柄を調べたい
- テーマ性のあって、株価が短期的に上がりそうな銘柄を知りたい
- PERが高くても短期的に株価が上昇するグロース株を知りたい
高配当株の評価方法確立に至る経緯



評価方法を紹介する前に、”なぜこの評価方法になったのか?”というのを、私の投資歴も含め少し説明したいと思います。
私の投資歴
私の投資歴はすごく浅く、まだまだ初心者中の初心者です。投資スタート直後の段階で、いわゆる”配当利回りの高い罠銘柄”を購入してしまい、損失を出してしまいました。罠銘柄というのは、理由があって一時的に高配当利回りになっていたり、減配のリスクがあって売られすぎているものなどです。罠銘柄をつかむと、大減配+株価下落で大ダメージを受けることがあります。この経験から、高配当株の難しさとファンダメンタル分析の大切さを学び、今の銘柄評価に基礎になっています。
高配当株のファンダメンタルの重要さ
このブログでの評価項目は、日本株投資家でYouTuberの坂本彰さんの影響を割と受けています。私の中では日本株の高配当株といえば坂本さんという感じで、高配当銘柄を選ぶに当たっての考え方が非常に参考になっています。他にもファンダメンタルの勉強して重要だと思う指標をいろいろと取り込み、試行錯誤した上で今の評価スタイルになっています。
高配当株を評価する上での4つの大きな評価コンセプト
評価項目の大きなポイントは下記の4つになります。
1)稼ぐ力はあるか
高配当株を長期で持ち続けるためには、配当をしっかりと出せる企業の稼ぐ力が必要です。 当たり前ですがこれが大前提です。稼ぐ力があると、安定的な増配が期待できたり、景気後退局面での持ちこたえる力があったりととても重要な要素です。
評価項目: 企業成長性、純利益率、ROE、フリーキャッシュフロー
2)借金は少ないか (財務健全性)
財務が健全(借金が少ない)かというのも重要視しています。借金が多い企業は業績悪化により倒産等の懸念があるためです。借金が多いと成長のための投資が難しかったり、格付けの悪化による信頼性の問題など、さまざまな問題の原因となる可能性があるので、借金の多すぎる企業はできるだけ投資対象から抜こうという考えでこの項目も評価しています。
評価項目: 自己資本比率、有利子負債量、D/Eレシオ、ROA
3)増配傾向があるか
高配当株は長期で保有しないとそのメリットを生かせないのですが、その高配当株の中でも連続増配を続けている銘柄は魅力的です。なぜなら増配すると購入時点での株価から見た利回りがさらに高くなるからです。そのような成長性のある銘柄を見るために増配の傾向や、配当性向に余裕があるかなども重要視しています。
評価項目: 増配傾向、配当性向、配当利回り
4)割安かどうか、魅力があるか
割安かどうかというのは長期投資において重要だと思います。割高な高配当株というのは実際ほとんど無いのですが、割高な銘柄をつかむと適正株価に戻った時などにキャピタルゲインでの痛手があります。稼ぐ力があって増配傾向があったとしても高PERや高PBRは避けたいところです。例えばキーエンスやワークマンは企業として魅力的ですが、割高すぎて今からの長期投資には向きません。いい銘柄を安いときに買うというのが長期投資の基本なので、割安感の評価も大切にしています。
また、株主優待も高配当株のおまけ要素として評価しています。クオカードなどの現金と同じように使えるものは総合利回りとしてみることで高配当株の魅力度が増します。
評価項目: PER、PBR、時価総額、株主優待
投資は自己責任 → じゃあどう判断したらいい?
”投資は自己責任”というよく言われるお約束がある通り、メディアがおすすめする銘柄や他の投資家の情報をもとに投資の判断をするのは自己責任になります。上記4つの評価コンセプトが決まっていても、”良い悪い”だけの抽象的な評価では買いの判断を出しにくいです。具体的な評価・比較にて納得してから判断したいという気持ちがあり、どうしたら平等に高配当銘柄を評価・比較ができるのだろうかと考えました。
抽象的評価(定性評価)から具体的評価(定量評価)へ
そこで上記の4つの評価コンセプトを参考に12個の評価項目を選び、そこで点数付けをすることで”良い悪い”をもっと具体的に出そうと考えて今の方法に落ち着きました。なぜその銘柄が良いのかというのをしっかり納得できるような評価方法にこだわっています。数値から求めた定量評価なので投資歴に左右されない評価項目です。したがって私のような投資歴の浅い初心者のブログだとしても、ある程度どの投資家レベルの方でも参考になる内容になっていると思います。
12項目の評価と基準(評価テンプレート)



前置きが長くなりましたが、12項目の評価とその基準・目安について説明します。四季報やIR情報から取得した数値情報をエクセルに入れて、 ★(黒星)の数で5段階評価をしています。定量的な評価になっているので、他の銘柄と公平な評価基準で見ているというのがポイントです。 (このブログの特徴です)
1.時価総額
だいたい500億円以上を目安
時価総額は企業の安定感をみる指標として使っています。時価総額が多ければ多いほど良いというわけでもないですが、だいたい500億円以上あれば大丈夫かなくらいで見ています。PBRも同時に見ていますが、PBRが3倍以上だと割高レベルとしてちょっと警戒します。逆にPBRが0.8倍以下だと割安と判断しています。
2.自己資本比率
40%以上欲しい
自己資本比率は自己資本と他社資本の比率で、比率が高いほど借金が少ないと言えます。一般的には50%以上でかなり優良と言われています。業種にもよりますが、30~40%が平均です。セクターによって平均が違うのですが、だいたい40%以上は欲しいと考えています。
3.当期純利益率
6%以上欲しい
当期純利益率を稼ぐ力の評価として使っています。営業利益率などを見る投資家もいますが、私は当期純利益率を見る派です。なぜなら当期純利益率が一株利益(EPS)や配当性向に直結する数値で、高配当株投資により重要な数値だからです。これもセクターで全然平均が違うのですが、できれば6%以上は欲しいと考えています。利益率が低めでも安定していれば良しとするときもあります。なるべく長期での利益率の傾向も考慮しています。
4.増収傾向
売り上げの成長をみる
毎年の売り上げが右肩上がりで増えている銘柄が好ましいです。売り上げが下がっている傾向だったり、年によって凸凹している銘柄は配当に安定感が無いと予想できるので避けたいです。売り上げにそれほど成長感が無くても収益性改善により増益の傾向が良いものはプラスのポイントです。



5.増配傾向
累進配当か連続増配が良い
累進配当(減配しない)か連続増配(毎年増配)が好ましいです。 減配が一番避けたいですが、長期で見たときに増配傾向がある場合は一時的な減配として許容できるので、できるだけ長期の配当経緯を見て判断しています。



6.配当性向
30%台が基準
配当性向は30%台が理想です。あまり少ないと配当利回りが少なくなるし、高すぎても減配のリスクが高まるので30%台を基準としています。中期経営計画等で40%を目標にしたり、企業の方針があった中で高くなっているものはOKです。配当性向も長期での安定性を見ています。一時的に30%台でも100%近い数値を過去に連発している銘柄は注意です。
7.PER
15倍以下が好ましい
PERは日本株の平均である15倍を基準としています。基本は15倍以下が好ましいのですが、配当利回りと似ていて罠PER(悪材料で株価が下落して割安に見える)もあるので、できるだけ長期のPERの傾向も確認しています。PER = 株価 ÷ 1株当たり利益(EPS) という計算式ですが、PERが長期で安定していて、株価が上がっている傾向が理想です。こういう傾向は”企業が成長しつつ、かつ、株が正当に評価されている”ということになります。



8.負債/純利益率
借金が純利益より2~3倍以下
有利子負債(借金)を評価する方法はいろいろあります。D/Eレシオや、自己資本比率、流動比率などです。これは日本高配当株の坂本さんの影響ですが、有利子負債額は純利益率と比較して多いかどうかを見ています。いくら手元に資本や利益剰余金があったとしても、純利益(稼ぐ力)が少なければその借金は重みになってしまいます。設備投資等の借金は必要なことですが、稼ぐ力以上に無理な借金をしている場合は注意が必要です。
9.配当利回り
3%以上
配当利回りがいくつからが高配当株かという定義はないですが、このブログでは3%以上を高配当株として評価しています。
10.ROE & ROA
ROEが10%以上
ROEは10%以上を基準にしています。長期で安定していて、また少しづつ増加しているのが好ましいです。決算書に出ているROEが良くても、長期でROEが安定しない場合は業績や配当の安定性に不安が出ます。ROAも参考程度に見ていますが、低すぎるROAは注意しています。



11.フリーキャッシュフロー
プラスのフリーCF
プラスのフリーキャッシュフローが重要で、投資CFより営業CFが十分多いのが理想です。また、長期でプラスの傾向を維持しているのが好ましいです。また、キャッシュ(現金・現金等価物)を毎年積み立てているのはキャッシュリッチ傾向になるのでさらに好ましいです。



12.優待
優待利回り0.8%以上
株主優待はおまけ程度で評価していますが、高配当株を長期保有する上で優待内容が良いものはプラス評価になります。配当利回りが3%でもクオカードで優待利回り1%なら4%の利回りの商品を持っているのと等価になるので、総合利回りの良い銘柄も注目しています。
総合ランク



総合ランクは上記の12項目を合計して計算しています。しかし、配点には少し差をつけています。純利益率や増配傾向は高配点で、時価総額や優待は低めの配点にしています。このブログではランクで分かりやすく整理しているので、銘柄選びの参考にしてもらえればと思います。同じ水準でいろんなセクターの銘柄を平等に評価しているので参考になると思います。テンプレート化しているので比較しやすいものになっていると思います。
SランクやAランクが私の評価ではオススメですが、これが銘柄や企業の価値を表しているというわけではありません。あくまでも私の評価の基準に照らし合わせた場合の話です。PERは高めが良いという人もいますし、配当性向は50%くらい欲しいという人もいますし、PBRを重視している方もいます。同じ銘柄を見ていても個々の評価が違ってくるのはこれらが原因で、決してDランクが悪い企業だと言っているわけではないのでご注意お願いします。
コメント・リーマンショック時評価



数値的な定量評価をした後に、私なりのコメントを入れています。この銘柄の良いところや気になるところをまとめていたり、IR資料をみて気になるところをピックアップしてのせています。
また、過去の景気後退局面であるリーマンショック時にどうだったかを確認しています。これは景気後退懸念が現実味を帯びてきたので、過去の傾向を参考にのせています。
これらの情報をどう判断するかというのは投資家のレベルに左右されるところもありますでの、参考程度に読んでもらえればと思います。
最後に



くどくなってしまいましたが、ここまで読んでいただきありがとうございます。高配当株の評価方法に共感を頂ける方はTwitterでフォローをお願いします。銘柄評価のブログ記事をアップした場合はつぶやいて連絡します。
また、最近銘柄のネタ不足があるので、評価方法に共感してもらえるかたでおすすめの銘柄がある方はご連絡いただけるとありがたいです。この評価方法で分析してブログに載せたいと思います。(注意:悪い評価結果が出てしまった場合はブログに載せないかもしれませんのであしからず。)Twitterのダイレクトメールでご連絡いただければと思います。
銘柄の評価と分析は独自のもので、ランクが高いから絶対儲けられると保障したものではありません。銘柄選定の参考程度にしていただき、実際の投資の際はご自身の判断と責任にてお願いします。
↓クリックして応援していただけると嬉しいです。



株式長期投資ランキング



にほんブログ村
ブログ「三菱サラリーマンが株式投資でセミリタイア目指してみた」 の三菱サラリーマンの本が出るそうです。長期投資にはおすすめだと思います。