リース銘柄の評価まとめ
リース銘柄の評価方法を確立してから、8つのリース銘柄を評価してきました。ファンダメンタルを詳細に見ていくことで、リース銘柄の特徴と魅力がわかってきました。素人なりにまとめてみましたので参考にしてください。部分的に個人的な推測・考察を含んだ記事になっていますのでご了承ください。
リース銘柄の特徴と強み
リース銘柄の一般的な特徴は下記のポイントになります。
- PER・PBRがかなり割安になっているが、それがリース銘柄の普通な数値。
- 長期で連続増配している銘柄が多い。リーマンショック時に減益になっていても増配している。
- 配当性向は低め。20~30%台が多い。配当利回りは2%後半から3%前半が多い。
- 有利子負債が多いが、営業資産残高とセットで考えられていて、営業資産残高が積み上げられていれば有利子負債をカバーできているという考え方。
- D/Eレシオが高い銘柄が多い。基本的に借金が多い。
- リーマンショック時でも赤字にはなっていない銘柄がほとんど。リースというストックビジネスが安定性を持っている。
下記はこれまで評価してきた銘柄の各項目を比較したまとめです。 横並びで見てみると、傾向が似ているのがわかると思います。

リース銘柄の傾向
各リース銘柄のファンダメンタルを詳細に見ていく中で様々な傾向やその理由が見えてきました。下記に3つに分けて説明したいと思います。
連続増配の秘密
秘密はずばり”配当性向の低さ”だと思います。もともと低い配当性向(10%~20%)で、業績が悪いとき(リーマンショック時など)には配当性向を一時的に上げて増配をするというのが連続増配を達成できた理由でした。またリースというストックビジネスが世界景気に比較的影響を受けにくかったのがあり、業績が安定していたのだと思います。(影響はあるが、緩やかに影響を受けるイメージ)
最近は配当性向が高くなってきて、配当利回りが高めなリース銘柄も増えてきました。特に三菱UFJリースと東京センチュリーは配当性向を30%に上げるという目標を出していて、経済危機でも増配をし続ける余裕が少し失われてきているように感じます。
反対にみずほリースとリコーリースは配当性向が20%前半で、上げても25%とかの方針なので、経済危機への余力を残しつつ安定成長を目指している印象です。
配当性向も重要ですが、配当のためには十分な純利益がないと配当を出すことができません。純利益と配当性向の掛け算が配当です。リース銘柄は順調に純利益を上げつつ、低めの配当性向で増配を続けることができたということで、非常に魅力的な投資対象だと思います。連続増配のリース銘柄の中では 三菱UFJリース が当期純利益率が高いので稼ぐ力があり魅力的です。
ビジネスの方向転換
それぞれの銘柄の中期経営計画を見ていくと、将来の方向性に傾向がありました。それは「リースを土台として新規ビジネスを増やしていく」という内容で、言葉や表現は違いますがほとんどのリース銘柄は多角化ポートフォリオを目指しています。
その理由は、国内のリース業界ので成長性があまり期待できないためだと思われます。下は国内リース業界の”リース取引高の推移”です。2008年の会計基準改正 があったので、取引高が成長していなくなっているのがわかると思います。

そのため、今まで通りのリースだけではない新規のビジネスが必要になってきているのですが、新規ビジネスの中身は大きく分けて2種類あります。1)海外のリース展開、2)多角化ビジネス経営です。
ビジネスモデルの方向転換という意味で先を進んでいるのが東京センチュリーと三菱UFJリースと日立キャピタルです。特徴として、海外のM&Aをして海外比率を高めたり事業のポートフォリオを増やしている点です。より企業成長を目指す方向性です。
反対に国内でのニッチな分野で成長しているのが リコーリースと九州リースサービスです。強みを生かしたり、効率を上げて利益を上げるという方向性です。
借金量と景気敏感性について
どのリース銘柄も有利子負債が多い傾向にありますが、そのために営業資産残高を積み立てるという経営手法をとっています。これはストックビジネスとしては良いと思いますが、新規ビジネスを増やしていく際はこの”借金の多さ”には注意が必要になりそうです。オリックスはリース以外にも多角化経営をしていたため、当時のD/Eレシオは4.6倍でしたがリーマンショック時には大苦戦をしました。 金融や投資関係の景気敏感なセグメントがリーマンショック時にかなり影響を受けていました。そのためD/Eレシオを下げることを経営指標の一つにしています。

反対にリースメインのリース銘柄はリーマンショック時の影響が比較的少ない傾向がありました。リースはストックビジネスの良さと、景気によってリース取引が少なくなるという2面性があり、緩やかな景気敏感性があるイメージです。
ちなみに、リース銘柄の株価は景気に敏感に反応しているので、株価の景気敏感性と業績の景気敏感性は少し分けて考える必要がありそうです。つまり、キャピタルゲインを狙う投資家は、景気後退期でのリース銘柄の投資はリスキーかもしれません。ここでは長期投資(インカム狙い)の目線で業績と配当にフォーカスした内容を見ています。
ここは私の推測とイメージですが、リース銘柄には下記のようなトレードオフの関係がある気がします。
- 国内リース割合高い = 成長性は低い → 緩やかな景気敏感性(ストックビジネス)
- 海外リース割合伸ばす = 成長性は高い → M&Aにより借金は増える = 景気敏感性が若干高まる(為替の影響なども)
- リース以外に多角化経営をする=成長と増収を狙う→ 景気敏感性が高くなる(特に金融系のセグメントが入っていると)
借金量と景気敏感性が直接つながっているわけではないですが、景気敏感性によって業績が悪くなる時は借金量によって苦しみやすくなる傾向があるのではないかと思います。
オリックスのように多事業のポートフォリオで成長・拡大という方向性を持っている銘柄はいくつかありますが、それらの銘柄は現時点でD/Eレシオが高いので懸念です。新規ビジネスを増やすためにはD/Eレシオの改善も並行して進めるというのが今後の景気後退局面で重要になりそうです。
リース銘柄の魅力と懸念
リース銘柄の魅力はやはり連続増配です。15年以上の連続増配の銘柄がいくつかあり、また他のリース銘柄も累進配当の傾向があります。長期投資において減配が無いというのは大きなポイントで、これから来る景気後退でも増配もしくは累進配当を期待できます。他の銘柄では景気後退で減配が発表されれば株価も下がり売りたくなる気持ちが出てきますが、その点でリース銘柄は長期投資家に安心して投資できる対象です。景気後退局面で株価が下がりまくっても長期保有するという強い気持ちが大事かもしれません。(株価を気にしちゃう長期投資家はメンタルに悪いかもしれないので他銘柄が良いかもしれません)
懸念としては、そんなリーマンショックも増配で乗り切ったリース銘柄たちが多角化ポートフォリオに方向転換しようとしていて、以前より景気敏感性が高まっているように感じます。また、配当性向も近年高くなってきてしまっています。つまり、だんだん減配のリスクが高まってきているので、さらなるファンダメンタルのチェックをしてから投資の判断をしないといけません。
まとめ
- リース銘柄は連続増配(もしくは累進配当)が魅力的で業績も安定しているので長期投資家にはおすすめ。
- 基本的に減配しない傾向があるので景気後退局面でも安心できる。
- 新規ビジネスで多角化ポートフォリオを目指しているが、いい面と悪い面がありそうなのでよくよく中身を確認する必要がある。
- 景気敏感性があり、株価は景気後退局面ではかなり下がる可能性がある。
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